背景(バック)について

水彩で、対象であるモチーフをしっかり描き込んだ後で、さあ、バックをどうしましょう?という質問ガ多い。バックが一番難しいと言って後回しにする。ものを描くのに時間をかけて、ほんの少しの残り時間でやっつけて、やっぱりバックは難しいとなる。
対象を仕上げてからでは、背景の選択肢は狭く、気にいる絵にはなりにくいことが多いのです。モチーフとバックが一緒になって一枚の絵になります。モチーフとバックが互いに相談し合いながら制作を進めたいところです。モチーフを例えば3割がた、5割がた描いたところで、バックを入れ始めて画面作りを楽しんで欲しいと思います。
作例はパステル画ですが、バックが変わることで、絵のイメージも、モチーフの彩色も少しずつ変化していることを見てください。背景(床を含む)の明度を右と左で分けた絵、暗めの背景とモチーフに部分的に光を当てた絵、白っぽい背景にモチーフのシルエットを出した絵。背景に使用する色によっても対象物の色の表現が微妙に変わります。
パステル画は変更が楽な画材ですが、水彩はそうではありません。描き出しのうちに大きな計画を立てておきたいところです。

2017年08月10日